#8『性的同意は世界を救う』言葉にすること、聴かれること

保護者の方向けの本、2冊目です。

『性的同意は世界を救う』

これは、著者である斉藤章佳さんと櫻井裕子さんが取り組まれている、性犯罪再犯防止プログラムの名称で、これがそのまま書籍名になっています。

わたしはこの本の内容が、本当に世界を救うと思っています。

櫻井裕子さんは、思春期編の#6でご紹介したわたしが激推しする『10代のための性の世界の歩き方』の著者の方でもあります。

 


ハウツーの本ではありません

この本は、性的同意の取り方とか、いつ頃にこういうふうに言いましょうといったハウツーの本ではありません。

P9に書かれている、性加害者たちの実態。

追って詳しく見ていくが、性加害者たちの実態は、多くの一般の方たちが想像しているであろう、「性欲が異常に強く、抑制が効かない人間」というわけでは決してない。加害者臨床の視点からは、むしろ、何らかの要因で生きづらさやコンプレックス、困難さを抱え、「自己治療」の手段として、加害するといったケースのほうが目立つ。

この言葉に、凝縮されていると思います。

「こういうことをしてはダメです」みたいな単純な話からは、何も生まれない。

もっとその奥にある、人間の根源の気持ちや不安、そして大事にしたいことを、みに行く本です。

作者のおふたりが、実際にプログラムを行うなかで感じ取った6つのテーマで、この本は書かれています。

6つのテーマ

①性を「言語化」する
②AVとの付き合い方を考える
③ソロプレイ(いわゆるマスターベーション)の不安を取り除く
④子どもが「自立」できる人間関係を築く
⑤性を自己決定する
⑥誤った「男らしさ」から解放される

 


性を「言語化」する

6つのうちの最初であり、最も多くのページがさかれているのが、これ。

①性を「言語化」する

ここがもっとも鍵なのだと思います。

性のことは隠される、語られない。

「これでいいのかなぁ、、」と不安であるほど、語られない。

本のなかでは、弱さを抑圧されてきた男性が、特に語りを遠ざけてきている傾向がある、と書かれています。

言語化されることは、それが「あってもよい」というところに置かれる、ということだと思います。

(この「よい」は、行為をしてよいという意味ではなくて、あるものはある、という存在を認める意味での、あってもよい、ということです)

人は、自分の中にあることが「あってはならない」ということが、とても辛い。

あぁ、それはあってもよいのだ、というところに置けて、初めてそれを眺めることができると思うのです。

たとえば、めちゃくちゃ憎たらしいと感じる相手がいるとする。

ふつうは、そんな人を憎いとか思ってはダメだとか、そうとしか思えない自分は未熟だとか、そういう思いから、その気持ちをなかったことにしようとします。

でも実際は、ないことになんてできないから、変な形のストレス解消になったり、自分を責めたり、相手を責めたり。

幸せに結びつく方向には、ならないんですよね。

でも、憎たらしいという気持ちが自分の中にあるんだ、とその気持ちを持つこと自体を認めると、まず何か力が抜けるような、ニュートラルな状態になる。

憎たらしいがあっていい、というのと、その気持ちをそのまま何かしらの形で相手にぶつけにいくのは、ぜんぜん違います。

本の中には「言語化能力の高い人は回復可能性が高い」とあります。

言語化することは、まさに、それがある、まずそれが認められる。

そうすると、それを眺められるフェーズに入れるからだと思います。

 


言語化を進めるのは、聴かれること

じゃあ、どうすればその言語化が進むのか。

その一つが、聞かれること。

本の中にも、こうあります。

どんな話でも否定しないで、口を挟まずに聞く(P31)

聞いてもらえるということは、受け入れられているということ(P35)

本当にそうだと思います。

なのでわたしは性教育と並行して、聴くの深さを深めていこうというプログラムをやっています。

この本の6つのテーマはすべて、隠されてきた、避けられてきた性の言語化であり、それをどう聴くかの実例が、ふんだんに語られています。

 


親のわたしたちは、ほんと未熟

親のわたしたちには、耳が痛い話もたくさんあります。

わたしは聴ける親なのか?と言われると、息子たちに「ごめんよ!」と思う。

そして本当に難しいから、今もやり続けているとも言えます。

作者のおふたりは、親でもあります。

おふたりの親としてのエピソード、苦悩や葛藤のシェアも、ありがたい。

わたしたち親は、ほんと未熟。

だから学んで、時には素直に謝って、そして子どもたちと一緒に成長していくんだと思います。

 


【保護者の方向け】今日ご紹介した性教育の本#8

「性的同意は世界を救う」
子どもの育ちに関わる人が考えたい6つのこと

著:斉藤章佳・櫻井裕子
(時事通信出版局)

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わたしのおすすめの性教育の本を順番にご紹介していきます
子育てしてきた体験、そして性教育講師として10年以上講座をさせていただき、そのなかで出会ってきた本を、わたしの目線による感想と共にご紹介します

 


日々の生活のなかで、子どもと性のこと、カラダのことを自然に話したい。

どんなスタンスで、どんな言葉で話すんだろう。

そんなことに興味を持たれたら、ぜひ講座にいらしてください。

いろんな事例、わたしもこれまでいただいてきた集合知を共有します。

▼講座のご案内・日程はこちら
https://suzukimika.com/archives/category/schedule

直近は2026/8/26にUmiのいえにて
「男子を育てる親のための性教育」
本も手に取れる機会です。ぜひいらしてください!

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